今から約30年前の1995年に1ドル79円を記録していました。この時が最も円が強かった時代です。2024年の現在では1ドル160円に到達しそうな勢いで円安が進んでいます。ここまで円安が進んでしまうと、今まで当たり前のように買っていた商品が値上がりして生活が苦しくなっているのではないでしょうか?
iPhoneの初期モデルは2008年に2万円台で購入できていました。しかし、現在の最新機種では高いもので20万を超えてきます。もちろんiPhoneの性能が上がって本体価格が上昇していることもありますが、円安の影響により日本の販売価格が上がっていることは間違いありません。
円安は個人一人の力ではどうすることも出来ませんが、円安に対して対策を行っておかないと、自分の大切な資産を減らしてしまうことになります。今回の記事では、円安に対して正しい知識を身につけ、円安に負けない資産管理をしてもらいたいと思います。
円安とは
円安とは、外国通貨に対して円の価値が低下する現象を指します。円安が進むと、1ドル当たりにかかる円の価格が増えます。例えば1ドル=100円だったのが1ドル=120円になるような状況が円安になります。
円の金額が上がっているので「円高」と勘違いしがちですが、円の価値が下がっているので「円安」になります。
円安が起こる原因
円安が発生する原因は、主に国の政策や経済状況に大きくかかわっています。
<円安の主な原因>
- 日本の経済政策
日本政府や日銀の金融緩和政策※(例:マイナス金利政策や量的緩和)が円安を促進させることがあります。
- 他国との金利差
日本の金利が低くて他国の金利が高い場合、投資家は日本円を売って高金利の通貨を買います。これにより円の価値が下がります。
- 輸入額が輸出額を上回る
輸出より輸入の方が多い場合、円を売って外貨を買う必要があるため、円の需要が下がることで円安が進みます。
メリット・デメリット
円安は輸出企業にとって、海外で日本製品が売れやすくなるため利益の増加が見込めます。しかし、一般消費者としては円安はマイナス面が多く、円高の方がメリットが大きくなります。
一般消費者の円安メリット
- 保有している海外資産の価値が上がる
米国株を1ドル=100円の時に購入して保有していたとします。円安の影響により1ドル=150円になったとすると、持っていた米国株が日本円の価値で1.5倍になったことになります。外国株や外貨を多く所持している方にとっては、円安はメリットとなります。
一般消費者の円安のデメリット
- 輸入品が値上がりする
- 輸入コストが高くなることで、国内生産品も値上がりする場合がある
- 海外旅行が高くなる
輸入にかかわるコストが上がることで、apple商品やバナナのような海外から入ってくる製品や、原材料を輸入して作る加工品などが値上がりしてしまいます。
海外旅行にいくためには、現地の外貨に換金しなければいけません。円安で1ドルを交換するために必要な円が多くなることで、換金できるドルの数が減ってしまいます。その結果、必要以上に円を使う事になってしまいます。
日本円の資産しか持っていない場合、円安はデメリットしかありません。
現在は、1ドル150円を超えていて、円安が進行しています。
円安が投資に与える影響
円安は投資に対しても、様々な影響を与えています。これから資産運用を始めていきたいと思っている方は、円安がどのような影響を与えるのか、頭の片隅に入れておきましょう。
株式市場への影響
- 輸出企業の株価上昇
円安によって輸出企業の製品が海外市場で売りやすくなり、売上と利益が増加し株価が上昇します。
- 輸入企業の株価下落
円安により原材料や商品を輸入するコストが上がるため、利益率が低下し株価が下落します。
外国為替市場への影響
- 円で保有している資産の価値低下
円の価値が下がるため、円建ての資産(現金預金や円建ての債券など)の実質的な価値が低下します。
債券市場への影響
- 国内債券の価値低下
円安はインフレを招く可能性があり、これが長期金利の上昇を引き起こします。金利が上昇すると国内の債券価格が下落します。
- 外国債券の価値増加
円安により外貨建て債券(米ドルやユーロ建て債券)の価値が上昇します。
不動産市場への影響
- 外国人投資家の増加
円安により、日本の不動産が外国人投資家にとって割安になるため、海外からの不動産投資が増加します。
- 国内不動産購入の影響
円安に伴うインフレ圧力が続くと、金利上昇につながり、住宅ローンの金利も上昇します。
個人ができる円安対策
円安を防ぐことは個人では何もできません。しかし、円安を楽観視して何もしないでいると、あなたの大事な資産が目減りして、お金が減っていってしまいます。ドル円が160円に迫る勢いで円安が進んでいますので、資産を守るためにも資産の管理方法を考えた方が良いでしょう。
現金(預金)以外の様々な金融資産を保有しポートフォリオを分散しておく
現金や国内株など日本円だけで資産運用をするのではなく、外国株や外貨(ドル)などで資産を保有しておくことで、円安時のリスクを低減することができます。円安が起こった際は、日本円の金融資産は価値が下がるかもしれませんが、逆に外貨資産は価値が上がるので、円安時でもポートフォリオ全体でバランスを取ることができます。
まとめ
・円安は一個人がどうにかできるものではない
・円安が進むと商品の値段が高騰するなど、デメリットの方が大きい
・「円」以外の資産を持つことで、円安になった場合のリスク分散になる
円安は一個人でコントロールできるものではないので、政府の動きを見守ることしかできません。正直、今の日本の政治に経済を動かせる力はないと思います。だからといって、他人事のように見守っているだけでは自分の大事な資産を減らしていくことになります。
貯金をしていれば安心の時代は終わりました。これからは、円安・円高の正しい知識を身につけ、自分のお金は自分で守るようにしたほうがよいでしょう。